10年くらい前に書いたテキストが出てきたので晒してみる。
なぜあいつだけが他のやつらと同じ必殺技を持っていないのかという考察。




ああ・・・ヤツのことか?

確かによく知ってるさ。ヤツが子供のときから、俺はずっとこの家にいるんだからな。


――そんな歳に見えないってか?
よく言われるよ。俺は、どっちかっていうとお前ら側の生き物だからな。見た目じゃ歳は分からねえもんさ。


・・・で、話を戻すぞ。
ヤツは子供のときは、父親によくなついててな。

母親? ああ。俺がここに来たときにはもう居なかったよ。死んだのか逃げたのかは知らないけどな。彼もそのことについては話したがらないし、俺もそれほど気にしたことは無かったからな。

とにかく、ヤツは彼と二人で暮らしてた。親子仲良くな。

けどヤツが15、6になったころから、二人の間に溝ができた。

まぁ、一方的にヤツが父親のことを敵視し出したんだけどな。
どうにも、若いヤツには彼のやり方は生ぬるく映ったらしい。

ま、実際彼の計画が成功するのはもっと先になるワケだから仕方ないけどな。


――計画? 分かってんだろ。お前さんのこったよ。

ああ。そんな昔から、彼はお前を作るために頑張ってたのさ。


また話が脱線してるな。

そんなこんなで、彼とヤツとの距離は開いていった。

結局、ヤツは18の誕生日に家を出てな。

それからずっと音沙汰なしだった。

それから3年ほど経ってからだったか。ヤツがここに戻ってきてな。
まだ首も据わってない赤ん坊だけ置いて、すぐまた出て行きやがった。
親不孝なヤツだぜ。ホント。


ヤツは赤ん坊があの歳になっても、まだ帰ってきやしねえ。
どこで何やってんだかね。

お前さんの存在も知ってるのかどーか・・・。
知ってたらどう思うだろうかね。ずっとオヤジのやり方じゃ無理だっつってケンカしてたんだから。
さぞや嫉妬するだろうね。

―――え?
ヤツももう完成させてるってか?

ホントかいそりゃ。それはえらいことじゃないか。


やきそばパンマン・・・それがヤツの作品の名前か。

だが、お前が気にするほどのもんでもないんだろ?
稀代の天才・ジャムの最高傑作たるお前なら、何も恐れるもんはねえよ。


―――酒の所為かな。今日はちょっと喋りすぎた。

もう寝るわ。
・・・ああそれと、今言ったことはバタ子には言わないほうがいいぜ。あいつアレで結構弱いとこあっからさ。




~ある夜のチーズの会話。

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